情けない「口だけ絆」の日本 -「役に立つ馬鹿」を見捨てる時だ!より
2012年02月23日 北村隆司
何故、この様な、臆病で、優柔不断な日本になってしまったのか? 私は、戦後日本の知識階級に強大な影響を与えて来た「進歩的文化人」が、その犯人だと思っている。
ソ連が瓦解する前の冷戦時代に、西側諸国のソ連信奉者が、共産主義とその社会を賛美する様子をソ連当局が歓迎しつつも、内心では彼らの愚かさを軽蔑し、冷笑的に利用していたグループを指して「役に立つ馬鹿(useful idiots)」と呼んでいた。
戦後日本には、ソ連とは限らないが、夫々の信奉する外国の思想を賛美し、「それを可能にしたのは何故か?」と解説する事を生業とするグループがあった。それが、「進歩的文化人」と称された集団である。その集団には、戦後政治思想の神様に近い存在であった丸山真男を含む、人格、識見並々ならぬ人々が含まれる。
このインテリグループは、特定のイデオロギーを主張しない為に、利用価値が高く「良心的勢力」とも呼ばれた。この「良心的勢力」は、決定プロセスの是非を延々と論議するグループで、日本の「優柔不断風潮」の形成に大きな影響を与えて来た。
「満場一致」や「小数意見尊重」等の「形式尊重」が民主主義の根本思想だと言う、世界の常識からは遠く離れた「日本的ドグマ」も彼らの影響で誕生した。
はっきり物を言えば「恫喝」と言い、「即決」は「独断」に通じる反民主主義だと教え込み、国民一人一人が考えなければならない民主主義を、「これが民主主義だ」と言う「暗記科目」に変えてしまったのも「進歩的文化人」の教条主義が犯した罪である。
民主社会の特徴の一つは「説得と納得」であり、市民の間に不安があれば、それを説得し、素早く物事を処理して行くのが指導者の役割りである。その反面、国民の「ゴネ」も許されず、有識者やマスコミのおもねりや不和雷同も禁手である。
難しいのは、この違いが極めて微妙な事で、それが妥当であるか否かを決めるのは、有識者の解説でも、マスコミでもなく、有権者の投票だと言う認識が日本人には欠けている。これも、、知識に劣る国民の考えより、「有識者」の意見やマスコミを信用させる神話を作った「進歩的文化人」の手品である。
具体案も示さず「慎重な、がれき処理」を唱える人々の多くは、俗称“朝日文化人”“岩波文化人”と呼ばれた「進歩的文化人」の系譜を引く人々で、「良心的」と言う芸名を使った利己主義芸人の集団である。現在活躍している著明な知識人の殆どが「平和主義」を「九条」や「武器三原則」と同義語と見る「九条の会」の発起人、賛同者に名を連ねている人達だと聞くと、世界で紛争が起るたびに腰が引けて馬鹿にされる日本の犯人を見る想いだ。
これ等、の似非「進歩的文化人」に比べれば、「非武装中立は日本が資本主義だから唱えていることで、日本が社会主義になれば帝国主義に抗するため軍備を持つのは当然」と公言した向坂逸郎の方が筋が通っており、本当の「良心的文化人」だと思う。この点、橋下市長は向坂教授に通ずるものを感じる。
日本には、財政危機、行政改革、地方分権、大震災復興、エネルギー問題など日本の死活を制する大問題が山積している。だらだらと論議している時ではない。誤った決定は、優柔不断に数千倍勝る。何故なら、誤りであれば、それが直ぐ判るからだ。
日本の政治は55年体制の崩壊が進んでいるが、有識者やマスコミの価値観は、依然として良心的文化人体制から抜け出せていない。
「公平」と言う莚旗を掲げ、リベラルの旗手を誇っていた岩波さえ、「コネ採用」に転換した現在、官僚、有識者、マスコミなど日本のインテリは、一刻も早く、古びた「良心的文化人」へのコンプレックスから脱却して、日本を「ひ弱な、草食国家」にする運動から手を引いて欲しい。
瓦礫を拒否するエゴイズムより
2012年02月05日 池田信夫blog
反原発は人々の私的な利害を超えて「正義」に訴える運動だと思っていたが、どうやら最近は単なる地域エゴになったようだ。放射能を拡散させない市民の会なる団体は、全国の自治体の瓦礫受け入れ状況を地図に表示して組織的に反対運動をしている。
河野太郎氏も説明するように、被災地のほとんどは原発事故の影響を受けていないのだから、被災地の瓦礫をすべて拒否するのは筋が通らない。実際の線量も、東京や横浜と変わらない。
反原発運動には環境を守るという大義があったが、瓦礫受け入れ反対運動はそういう大義も論理的な根拠もなく、「被災地はどうなってもいいから自分だけはリスクをゼロにしろ」という卑しいエゴイズムだ。「福島の農産物は毒物だ」と称して被災者を苦しめる武田邦彦氏や早川由起夫氏と同じである。ここまで堕落すると、運動が自壊するのも時間の問題だろう。
→ 前原政調会長の「言うだけリスト」一覧
この件に関して、いろいろな批判が出ていますね。
橋下大阪市長「(メディアは)批判することが仕事」「悪口言われたら言い返す」
2012.2.24
民主党の前原誠司政調会長が産経新聞記者の会見出席を拒否したことについて、橋下徹大阪市長は24日、「(理由は)分からないが、僕だったら記者に来てもらって、悪口を言いまくる。悪口をいわれたら言い返す」と話す一方、「(報道内容に)一定のラインはあると思うが、(メディアは)批判することが仕事だし、それがなかったら権力は危なくなる」と述べた。
みんな・渡辺代表「姑息、語るに落ちた話」と批判 「民主党の体質」とも
2012.2.24
みんなの党の渡辺喜美代表は24日の記者会見で、民主党の前原誠司政調会長が産経新聞の報道内容を理由に本紙記者の記者会見出席を拒否した問題に関し「野田佳彦首相もぶら下がり取材に応じていない。政調会長もそういう姑息なことをやる。民主党の体質でしょうね。語るに落ちた話だ」と批判した。
「政治家として幼稚」政治評論家の三宅久之氏
2012.2.24
政治評論家、三宅久之氏の話「公の会見で特定の報道機関の記者の出席を拒むことは、政党助成金を受け取っている公党の要職にある者として、あり得ない行為だ。民主主義下で与党が批判されるのは健全な政治のために当然であり、それを謙虚に受け止めることなく、気に入らない者を排除することで自分の正当性を守ろうとする前原氏の対応は、政治家として幼稚としか言いようがない」
「名誉毀損ではない」渡辺武達・同志社大教授
2012.2.24
渡辺武(たけ)達(さと)・同志社大教授(メディア倫理)の話「政治家は正当な批判である限り答える義務がある。『言うだけ番長』という表現はメディアの批判として許容範囲であり、公人への人権侵害や名誉毀(き)損(そん)には当たらない。さらに政治家には自分の発言を有権者に伝える義務がある。この3点から、前原氏の会見拒否はいかなる意味でも肯定できず、民主的な政治家がやるべきことではない」
平野博文文部科学相は、この問題に関して「憶測や推測で書かれて批判されるのはいかがなものかと思うが、事実であれば書いていただいて当然」と言っています。事実であれば書かれて当然と。前原政調会長の「言うだけリスト」一覧を見てみると、全て事実なので書かれて当然ということになるのでしょうかね。
こういう批判も出ています。
「問題矮小化するな」大石泰彦・青学大教授
2012.2.24
大石泰彦・青山学院大教授(メディア倫理・法制)の話「今回の前原氏の対応が前原氏個人の考えか、それとも民主党の組織としての意思なのかが現時点では不明であり、民主党政権が前原氏をこの件で擁護するかどうかが注目される。取材拒否は自民党や地方自治体でもみられ、問われているのは政治家が表現の自由をどう考えているかだ。民主党だけの問題に矮小(わいしょう)化すべきではない」
産経新聞が本当に保守かどうかは疑問ですが、朝日新聞や毎日新聞などに比べると保守なのです。それで、左翼の色濃い民主党政権としては、産経が嫌い。昨年、産経の政治部の記者だった阿比留さんを無視し続けた菅前首相。ここまでやるのは菅前首相とか前原氏のような卑怯な政治家です。
また空しく時間を無駄にしました
2011/05/18 産経新聞記者 阿比留瑠比
ついさっきまで、菅直人首相の記者会見に出席し、1番前の列に座って手を上げ続けましたが、またしても指名されず、質問はできませんでした。4月12日の記者会見を最後に、産経は一度も質問できていません。
さすがは国民の声に耳を傾け、情報公開が旨だと掲げる菅政権です。言っていることとやっていることがこれほど徹底して違うと、いっそ清々しいくらいです。
評論家・屋山太郎 橋下氏の突破力は小沢氏の対極2012.2.23
橋下旋風が勢いを増している。関西の地方現象とみたり単なるポピュリズム(大衆迎合主義)と評したりする向きもあるが、本物の政治家が誕生したと私はみる。
◆着手点、着眼点とも正攻法
橋下徹氏は、2008年に大阪府知事として出発したときから着手、着眼点が正攻法だった。知事は選挙で選ばれた政治家で、職員は政治家の方針を実行するのが役割だ、と“身分の違い”をまず押さえたのは出色だった。近年の知事は「県民党」などと自称するから、選挙で勝った者は誰か、職員は何をすべきかも曖昧になるのが常だ。与野党で候補を一本化したりする悪習が生んだ弊害だ。
橋下氏は就任早々、「政治家の務めは財政規律を守ることだ」と述べ、膨大な府の赤字の削減に取りかかった。職員の給与を16〜4%、退職金を10〜5%カットした。次に、ダブル選挙で大勝し大阪市長になった際も、府と同率の給与カットを市職員に申し渡している。前回は7時間の、今回は3時間半の団交を行った。どちらも、組合が納得したわけではないが、手順を尽くしたうえで実行に移す度胸を備えている。府知事時代は28のハコモノを整理し、市にも同様のことを行うという。
橋下氏が府に残した職員基本条例案と教育基本条例案は、2月の府議会で可決する段取りだ。ともに職員、教員に5段階の相対評価の勤務評定を行う。従来の常識では驚天動地ものだ。最低評価を2年続ければ分限免職するという強烈な項目も入っていたが、過激だという意見があって調整中だ。
橋下氏は、両条例案の土台をそのまま立法化することを次の衆院選の公約にするという。これは、安倍晋三政権が断行した教育基本法改正に匹敵するほどの価値がある。これまでだと、基本法の趣旨を無視しても、教育現場にとどまることはできたが、条例が制定されれば、全国の教育現場は規律正しい姿に変わるだろう。
◆自治労、日教組押さえ込め
橋下氏は離婚率、学力テスト、犯罪発生率の「どれを取っても大阪がワースト5に入る。教育が悪いからだ」と断じた。教育基本条例の一方で、小中校の給食率を引き上げるために支出し、年収650万円以下の家庭の子供が私立高校に行く場合は、バウチャーで全額補助する方針を打ち出した。高所得の家庭の子供だけが私立に行けば階層の固定化を招くという考え方からだ。この結果、公立高校は3割もの定員割れとなった。
自治労と日教組が“選挙マシン”と化しているのは、全国的風景である。しかも、日教組出身の輿石東・民主党幹事長は「それのどこが悪い」とうそぶいている。
市長当選後、橋下氏は市職員が公然と現職市長の選挙マシンになっていたと非難し、激怒した。自民党政権時代、中山成彬文科相は「日教組を潰せ」と叫んで、辞職を余儀なくされた。組合は憲法で保障されているから、確かに、潰すわけにはいかないのである。
だが、条例によって教員の相対評価を行い、人事評価の権限を組合から取り上げれば、教育現場に政治を持ち込むようなことはなくなるはずだ。大阪でまず立派な教育環境を整え、それが良いとなれば立法措置が取られるだろう。
橋下氏は、自ら率いる「大阪維新の会」の政権公約ともなる「船中八策」に、「自治体によっては教育委員会の廃止も認める」との項目を入れている。教育委員会の仕組みは無責任極まりないから、首長部局が直接、教育に携わる体制に変えるのがベストだろう。
大阪都構想は、地方自治法の改正が前提となる。改正に突入すれば国の出先機関の廃止や道州制への移行のきっかけになる。30万人の国家公務員のうち実に22万人が出先機関、県、市町村にばらまかれている。中央集権体制の化けの皮をはがすことにもつながる。
◆的確な言葉繰り出す説得力
橋下氏は政治に真っ正面から切り込み、「バカ文科省」「クソ教育委員会」と若干、下品ではあるが的確な言葉で敵を討つ。例えば国の公共事業における地方分担金の問題に、「明細のない『ボッタクリバー』の勘定は払わない」との一言でケリを付けた。言葉を的確に繰り出して討論し、説得する突破力を独自に持っている政治家を、日本で見るのは初めてだ。
無言を貫いてカリスマ性を高める日本型政治家の一人、小沢一郎元民主党代表と比べてみよう。小沢氏が政策について明快に述べたことがあっただろうか。小沢氏は中国を慮(おもんぱか)って、かつて国連第一主義を標榜(ひょうぼう)し、国際政治に関する無知をさらけ出した。一方の橋下氏の「船中八策」では、「日米同盟の強化」が打ち出されていて、日本外交の軸を外してはいない。
小沢氏の陰気さと、橋下氏のはじけるような明るさ。裏から集団を動かす小沢氏的なやり方は、日本の伝統的な政治手法だが、大衆民主主義の時代にあって、政治をことさら分かりにくくしている。橋下氏には、団交でさえ公開して行う度胸と弁舌と明快さがある。大衆民主主義の時代にふさわしい政治家が登場したのだと思う。(ややま たろう)
朝日新聞社が世論調査を実施した結果、橋下徹大阪市長の府民の支持率は70%だったそうな。
自民党が左翼政党と一緒になって国歌斉唱時の起立を拒否すべきと言っているとは、あきれた話。自民党は保守政党なんて言えませんね。ますます橋下氏を応援したくなるというものです。彼は歴史に名を残す政治家になるでしょう。彼ほどの人は、自民にも民主にもいません。
橋下市長提案の国歌起立条例、否決される公算
2012年2月22日 読売新聞
大阪市の橋下徹市長が2月市議会に提案する国歌起立条例案が、原案のままでは否決される公算が大きくなった。
21日、各会派が対応を協議した結果、市立小中高校などの行事で国歌斉唱時に教職員への起立を義務づける内容に、自民、民主系、共産が反対し、公明も否定論が強かったためだ。市議会側で修正案を探る動きが出始めている。
条例案では、起立しない教員を念頭に「学校での服務規律の厳格化」を目的に掲げており、市議会では「起立斉唱の趣旨にそぐわない」などの反発が多い。
大阪府では昨年6月、単独過半数を占める大阪維新の会の賛成で同様の条例が成立したが、公明、自民、民主、共産は反対に回った。市議会では維新は過半数に届かず、他会派の賛同なしには可決できない。
大阪維新の会を応援するより
2012年02月22日 池田信夫blog
大阪維新の会が次の衆院選の公約にする「維新版・船中八策」の骨子の全文が産経に出ている。表題は「日本再生のためのグレートリセット」。5ページにもわたって読みにくいので、1ページにまとめて注目すべき項目を整理してみた。
目的
・決定でき、責任を負う民主主義
・決定でき、責任を負う統治機構
・自立する個人
・自立する地域
・自立する国家
・現役世代の活性化
1.統治機構の作り直し
・内政は地方に任せる=地方・都市の自律的経営に任せる
・地方交付税の廃止
・自治体破綻制度
・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で=権限と責任の一致
・地方間財政調整制度=地方共有税制度の創設
・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想
・道州制
2.財政・行政改革(略)
3.公務員制度改革(略)
4.教育改革
・教育委員会制度の廃止論を含む抜本的改革
・首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視
・教育行政制度について自治体の選択制
・学校を、校長を長とする普通の組織にする
・大学も含めた教育バウチャー(クーポン)制度の導入
・生徒・保護者による学校選択の保障
5.社会保障制度
・受益と負担の明確化(世代間格差の是正)
・現行の年金制度は一旦清算=リセット
・年金の積立方式への移行(最低ライン)
・掛け捨て方式(ストックでの所得再分配)
・持続可能な医療保険制度の確立=混合診療解禁による市場原理メカニズムの導入
・持続可能な生活保護制度の確立=就労義務の徹底
・ベーシックインカム(最低生活保障)制度の検討
6.経済政策・雇用政策・税制
・マーケットの拡大=自由貿易圏の拡大→TPP/FTA
・産業の淘汰を邪魔しない=産業の過度な保護は禁物
・人は保護する=徹底した就労支援
・労働市場の流動化、自由化→衰退産業から成長産業へ、外国人人材の活用
・資産課税=固定資産税は現金化、死亡時に精算(フローを制約しない)
・超簡素な税制=フラットタックス
・減免、特措法などは原則廃止
・脱原発依存、新しいエネルギー供給革命
7.外交・防衛(略)
8.憲法改正
・憲法改正要件(96条)を3分の2から2分の1に緩和する
・首相公選制
・参議院の廃止をも視野に入れた抜本的改革
「ネオリベ」だとか「市場原理主義」だとか攻撃する人も多いだろうが、経済学的には常識的なものが多い。これは堺屋太一氏や古賀茂明氏などの特別顧問の影響だろう。憲法改正に第9条が入っていないことでもわかるように、橋下氏は意外に現実主義である。
欧州の状況をみても明らかなように、好むと好まざるとにかかわらず、財政が破綻したら政府の規模を縮小することは避けられない。特に急速に労働人口が減少する日本では、改革が遅れれば遅れるほど「痛み」は大きくなる。
この「八策」が今すぐ国政を動かす力になるとは思えないが、今後10年で多くの政党がこういう考え方を取り入れざるをえなくなるだろう。「維新」とか「龍馬」といったレトリックはいただけないが、少なくとも民主・自民よりましな政党として応援したい。
泣ける“橋下政策”…“預貯金”課税はイタタッ!
2012.02.16
「大阪維新の会」が発表した「維新版・船中八策」の中にある「資産課税の強化」が注目を集めている。大阪市の橋下徹市長は預貯金に課税する「貯蓄税」に言及。爪に火をともす思いでためた庶民の金から税金を取られるというのは泣けるが、エコノミストは「デフレ脱却の特効薬になる」と指摘しているのだ。
「『ためていたら税金かけますよ』と、強制的にお金を使ってもらう仕組み作りも行政の役割だ」
橋下氏は先週、朝日新聞のインタビューで貯蓄税に言及した。税率などは不明だが、預貯金を消費に回すことで、経済を活性化させる狙いがあるとみられる。
欧米には、富裕層の固定資産も含めた資産全体に課税する「富裕税」がある国もあるが、クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は「富裕税は主に所得再分配のために行っており、貯蓄だけに課税して税収を上げるという発想で導入している国は過去にはない」とする一方で、「消費税率5%アップの増収分にも相当する税収が見込めるうえに、デフレ脱却の切り札になるかも」と力を込めた。
白川氏の推計によれば、預貯金と国債の合計残高は854兆円。税率が1%なら約8・5兆円の税収増となるが、1000万円の貯金がある人は年間で10万円失うことになる。子どもの学費など将来のための預貯金が打撃を受けることにならないか。だが、白川氏は「累進制をつければ、庶民を直撃するとはかぎらない」といい、昨今騒がれている“世代間格差”を是正する機能も果たすという。
「デフレ下では、貯蓄の価値が上がる。今の高齢者はその恩恵を大きく受け、もらいすぎた分をためている。それをちょうだいする唯一の手段といえる。所得税や消費税は若い世代に負担がかかる」
夢のような話だが、なぜ誰もやらないのか。
白川氏は「確かに、効果があり過ぎれば、資本が流出したり、バブルが発生するリスクもある。どんな政策にも副作用はある」と話した。
やはり、橋下氏が投げてきた石はデカい。
「預貯金と国債の合計残高は854兆円。税率が1%なら約8・5兆円の税収増」。
資産課税はいいアイディアですね。高齢者を狙った「振り込み詐欺」が減ります。
橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」がまとめた次期衆院選公約「維新版・船中八策」の骨子は以下の通り。これはマニフェストではなく、あくまで敲き台(たたきだい)であると言っていますね。これだけ各界に問題提起をした意義のある発信。立派です。
船中八策の中身について、これから議論して政策を決定していくそうですが、すでに政治家や識者・マスコミ人によって議論されていて、橋下氏の影響力を日々感じているわけですが、まるで橋本氏が政府の要人であるかのような錯覚を起こしますね。野田首相の存在感がますます薄くなりつつあります。というより、民主党と自民党の存在感がなくなったのです。
橋下氏の魅力の一つに、分かりやすい言葉でハッキリと発言するということがあります。こんなこともハッキリと言っていましたね。
■「今の日本の政治で一番重要なのは独裁。独裁と言われるぐらいの力だ」■「「人の悪口ばっかり言っているような朝日新聞のような大人が増えると日本はダメになります」■「朝日新聞がなくなった方が世のためになる。全く愚かな言論機関。すぐさま廃業した方がいい。権力の悪口を言っていればいいと思っているのではないか」
最近の注目記事。
「外国人参政権否定は差別」は不適切 公民教科書の採用中止求め提訴へ
2012.2.16
在日韓国・朝鮮人の参政権を認めないことを差別として取り扱っている公民教科書を採用するのは「参政権は憲法上日本国籍を有する国民に限られる」とした最高裁判決に反し、不適切などとして、福岡県内の医師ら3人が、採用を決めた同県教委と今春から使用予定の県立中学3校を相手取り、採用の決定などの取り消しを求めて16日に福岡地裁に提訴することが分かった。原告によると、外国人参政権についての教科書記述をめぐる訴訟は初めてという。
訴状によると、県教委は今春からの中学の公民教科書について平成23年8月、日本文教出版と東京書籍の2社を決定し、今春から県立中3校で使用する。
日本文教版は「在日韓国・朝鮮人差別」の項目の中で「公務員への門戸は広がりつつあるものの、選挙権はなお制限されています」と差別の一例として記述。
東京書籍版も同様の項目の中で「日本国籍を持たないため、選挙権や公務員になることなども制限されています。日本で生まれ生活していることや歴史的事情に配慮し、人権保障を推進していくことが求められています」と記載している。
原告側は「参政権の制限は差別ではなく、こうした記述は平成7年の最高裁判決に反する誤った説明。教育基本法にも違反する」と指摘。さらに福岡県議会が22年3月、「永住外国人への地方参政権付与の法制化に慎重に対応する」よう求める意見書を可決したことにも反するとしている。
原告代理人の中島繁樹弁護士(福岡県弁護士会)は「7社が発行する公民教科書のうち5社で同種の記述がある。全国の中学校の大半がいずれかの使用を決めており、多くの生徒に誤った見解を植え付けてしまう」と話している。
外国人参政権をめぐっては、2年に大阪の在日韓国人らが選挙権を求めて提訴したが最高裁は7年2月、「参政権は憲法上日本国籍を有する国民に限られる」として訴えを棄却。ただ、法的拘束力を持たない判決の傍論で「(地方参政権付与は)憲法上禁止されているものではない」とし、推進側の論拠になっている。
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「目的は菅直人リスクをなくすこと」自民・塩崎氏、原発事故対応を批判
産経新聞 2月15日
「原子力規制組織を見直す最大の目的は『菅直人リスク』をなくすことだ」。自民党の塩崎恭久元官房長官は15日の衆院予算委員会で、原子力規制庁の設置をめぐり、菅前首相の東京電力福島第1原発事故への対応を厳しく批判した。
塩崎氏は、第1原発のベント(排気)・海水注入の指示や現地視察、全原発対象のストレステスト(耐性検査)導入表明など菅氏の一連の対応を列挙。「支持率アップをねらった政治的パフォーマンスだ。これでは原子力政策の信用失墜をもたらす」と断じた。
普段は低姿勢の野田佳彦首相も、「菅直人リスク」との表現に「事故対応に批判はあるかもしれないが、その表現だけはやめてもらいたい」と反論した。
菅前首相の東京電力福島第1原発事故への対応は、きちんと検証しなければなりませんね。阪神・淡路大震災のときには社会党の村山富一首相で、東日本大震災は菅直人首相とは、不幸な偶然です。つくづく…。
さて、最終的に金融機関の収益となる「休眠口座」。最終的に口座の金が金融機関の収益として処理されています。それなら、新たな埋蔵金として休眠口座の預金を、震災からの復興支援などに活用したら良いと思います。全国銀行協会などは、金融機関の信頼を損ねることにつながると反対しているそうですが、単に我欲が強いだけのような気がします。莫大な金額ですからね。
「金融庁は、三菱東京UFJなどメガ銀行3行が収益として処理した休眠預金額を09年度は303億円、08年度242億円と明らかにした。うち約4割が預金者の求めで返還されたというが、全金融機関の数字は全国銀行協会も把握していない。駒崎代表を含め、全体で1000億円前後とする見方が多いが、私自身は全金融機関と郵便貯金の仮名口座を見込むと、総額で数千億円に上る可能性もあるとみている。」
→ 日本財団会長・笹川陽平 「休眠預金」を社会的に活用せよ
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野田首相が男系継承の尊重に言及したわけですが より抜粋
2012/02/10 産経新聞・政治部記者・阿比留瑠比
今朝の産経は1面で、「男系堅持 首相が意向 女性宮家創設めぐり答弁」という記事を載せています。9日の衆院予算委員会で自民党の稲田朋美氏の質問に答えたものですが、どういうわけか各紙はこの重要な答弁についてほとんど書いていません。私の気づいた範囲では、日経が2面にわずか8行のミニ記事で「女系・女性天皇に慎重 首相」と掲載していただけでした。
まあ、各紙の予算委担当記者の問題意識が低くて聞き逃したのか、ことの大事さに気づかなかったのかは分かりませんが、これは極めて重要な答弁だと思いました。以下はその質問と答弁ですが、野田氏は稲田氏の指摘にほぼ全面的に賛同しており、これは今後の方向性を決める上で重大な意味を持ちますね。
稲田氏:不断の改革は必要だが、変えるべきものと変えてはいけないものがあると思う。わが国の象徴である天皇陛下、皇位の承継の原則は変えてはいけないものの代表だと思う。2000年以上に及ぶ男系維持の原則、今の天皇陛下からお父さんをさかのぼって神武天皇まで続く伝統は圧倒的に美しい世界に例を見ない伝統だ。変えるべきではないと思う。皇室典範第一条の皇統、憲法2条の世襲は日本の有志以来、1つの例外もなく守られてきた伝統である男系維持を前提としていると解釈すべきだが、総理の見解は
野田首相:ご認識は私もその通りだと思う。憲法2条、皇室典範の1条で男系というふうに明記している。古来、ずっと長くそういう形で続いてきたことの歴史的な重みをしっかり受け止めながら、一方で、皇室活動の安定性をどうするかという観点で、皇位継承の問題ではなくて、今、女性宮家の問題は有識者を含めて議論させてもらうが、意識は私は同じだ。
……政府は、今月下旬から女性宮家創設に向けた有識者ヒアリングを始めます。羽毛田信吾宮内庁長官や園部逸夫内閣官房参与をはじめ、事務方にはこれを将来の女系天皇容認につなげたい意図がちらつくわけですが、野田首相自身がとりあえずその意図のないことを明言したのですから、そうそうそっちの方向に持っていくことはできないでしょう。
5日付の読売新聞の遠藤弦政治部次長のコラムは、野田首相の心境についてさらっとこう断言調で書いていました。
「首相はすでに党分裂も辞さぬ覚悟を固めている」
9日の衆院予算委員会で野田首相が「男系天皇堅持」と答弁したことについて、重要な事柄なのに各新聞がほとんど報道していないようですね。これは「報道しない自由」による世論誘導であると、上記のブログのコメント欄に書いている人がいましたが、まさにこのような世論誘導は度々あります。例えば、永住外国人への地方参政権付与法案や人権擁護法案など、メディアはほとんど報道せず、国民に広く知られないようにしながら推進しています。国民に詳しく知られてしまうと、両法案共に国民から否定されることが分かっているからです。
さて、沖縄問題ですが、仲井真弘多氏が沖縄県知事に、島袋吉和氏が名護市長のときに、日本政府と米政府が「普天間基地の辺野古移設」で一致。普天間基地の名護市辺野古への移設は、2006年5月、日米両政府間で合意され、2009年5月に国会で承認されています。
それを、ひっくり返したのが民主党・鳩山由紀夫元首相の「海外、最低でも県外」発言でした。民主党失墜の最大の原因は、この鳩山由紀夫氏の言動であり、この罪は大きい。日本国家・国民にとっても大きい。
政府は8日、在日米軍再編計画の見直しに関する基本方針を発表しました。基本方針には、在沖縄米海兵隊のグアム移転と、宜野湾市の米軍普天間基地移設を切り離し、海兵隊移転を先行して実施すると明記されています。これは普天間基地の永久固定化ということでしょうか。
米国や日本政府は、普天間基地が永久に固定化されても別に困らない。困るのは沖縄県民や宜野湾市民である。
喜んでいるのは軍用地主と左翼くらいだろう。地主は莫大なカネが永久に保障されるし、左翼は永遠に反基地・平和運動を続けられる。
願ったり叶ったり、もう言うことなし、満願成就の心境だろう。
→ これで普天間基地の永久固定化が進む
依存症の独り言 2012/02/09
しかし、民主党は7日、計11人いる党最高顧問・副代表に特定分野の政策を担当させる方針を固め、鳩山由紀夫元首相を外交担当とすることにしたそうです。菅直人前首相は新エネルギー政策を担当。民主党は党分裂回避のためには、こんな仰天人事も平気でやってのける。鳩山・菅と最低の首相を出したことでもウンザリしているのに、いまだに民主党はこのセンス。世論が分からないのか。それとも、野田政権は匙を投げたか。「首相はすでに党分裂も辞さぬ覚悟を固めている」のか。
さて、12日投開票の宜野湾市長選で、社民・共産・沖縄社会大衆党推薦の伊波洋一氏が当籤すれば、ますます沖縄を中国の影響下に置きたい活動が活発になることでしょう。市役所ぐるみの選挙運動で優位に立っている伊波氏。宜野湾市は中央部を米海兵隊の普天間飛行場が占めています。伊波は2010年6月、東京・有楽町の海外特派員協会で行った記者会見で、外国人記者の「北朝鮮と中国は脅威か?」という問いに「脅威ではない。脅威なのは米軍。中国とは何千年もの経済・文化の交流がある」と答えているのです。地方公務員法と公職選挙法に違反して、勤務時間中に市役所ぐるみで伊波洋一氏の選挙運動を展開しているようです。
→ 違法選挙を繰り広げる伊波洋一と宜野湾市職労を糾弾する
「私は安全保障の素人」と公言した一川保夫氏。その後釜に座った「もっと素人」の田中直紀氏。さらに、一川氏は参院幹事長に就任。あのような失態を晒した一川氏を、どうしても要職に就けたいらしい。仰天人事は、これだけではなかった。今度は鳩山元首相を外交政策、菅直人前首相を新エネルギー政策を担当させる方針を固めたそうです。こんな非常識なことをやる民主党に、ただただ呆れるばかり。この二人は首相時代に、1日も早く辞めてもらわないと日本が滅びると、多くの国民が心配した人たちです。鳩山氏は普天間飛行場移設問題で、菅氏は東京電力福島第1原子力発電所事故に絡むエネルギー問題で迷走しました。国益を大きく損ねた二人。その二人を重要な政策を担当させる、こんな仰天人事をやったのは、今や民主党最大の実力者にのし上がった「参院のドン」輿石東幹事長だそうです。ちなみに日教組のドンと言われる輿石氏が幹事長であるかぎり、民主党に公務員改革などできるはずがありません。
しかし、野田首相はどうなのでしょう。民主党をぶっ壊しても「経済を再生し、防衛を自立させ、教育を立派にさせていく」つもりなのか。
→ 野田首相は「昼行灯作戦」なのだと創新党の山田党首
昨年の暮れに野田首相は経団連の会合で、社会保障と税の一体改革について「自分の政権の延命のために政治をしているわけではないし、民主党のために政治家になったのではない」と述べ、不退転の決意で実現を目指す考えを示しました。この「民主党のために政治家になったのではない」というのは本当かもしれませんね。最近の首相の様子では、すでに政界再編を念頭に「解散して信を問う」と言っているように思えます。
さて、今日の気になる記事。
こんな日本に誰がした(1)― 日本の新国技「おもらいさん」
2012年02月09日 北村隆司
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は、橋下大阪市長が1月27日の記者会見で「3年連続定員割れの府立高校の統廃合で、経済的に困難な家庭の子どもが遠距離通学になっても、通学定期代くらいバイトして稼げばいい。授業料までただにしてるのだから、通学代が出せないから地元に高校を残さないといけないなんて、そんな理屈は通らない」と述べた事を取り上げ:
「通学代、バイトで稼げと暴言!」
と言う大きな見出しを掲げ橋下市長を非難した。
これが「働かざる者は食うべからず」の原則を掲げ「労働能力あるすべての市民の義務であり名誉である」と労働の義務を憲法で定めていたソ連を、世界の共産党の中で最後まで支持して来た日本共産党の機関紙の主張だと言う事に、隔世の感を禁じ得なかった。
日本国憲法第27条でも「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と労働の義務を定めている。第3項で「児童は、これを酷使してはならない」と言う規定は設けているが、中卒で勤労にいそしんでいる若者も沢山いる事実からも、高校生がアルバイトする事をさまたげている訳ではない。
共産党が、義務教育でもない高校教育で教科書代を無料にした橋下市長の政策に「貧困者救済を優先すべきだ」と抗議するなら理解出来ても「通学代くらいバイトで稼げ」と言う発言が暴言だと言う主張は理解に苦しむ。
「たとえ貧しい境遇にあっても、貧しさを表に出さず、気位を高く持って生きるべき」と言う「たしなみ」を教えた「武士は食わねど高楊枝」と言う諺は、今や「やせ我慢」や「見栄っ張り」を意味する言葉に身を落として仕舞った。
「おもらい文化」の典型が、赤旗の記事にもあるような「行政依存権利論」である。「お貰い権利論」は共産党に限ったことではない。最近の報道に見る沖縄、福島両県知事の言動は、知事として県民の自助努力を主導する事すら忘れた「職業的なおもらい屋」とさえ思いたくなる堕落ぶりだ。
日本語自身も「お貰い型」に変わってしまった。我々の世代では「勇気」や「元気」「パワー」を他人から貰うなどとは想像した事もなく、これ等は自ら絞り出す物で、出来れば人様に授けられる人間になれと教育されたものである。
ところが、最近の日本、特に東日本大震災後は「勇気」も「元気」も「パワー」も「貰う」のが当たり前の、受け身な日本になってしまった。
受身や形式主義がはびこる国は、必ず他人に依存する国柄を生む。こうした「おもらい文化」の蔓延する日本が、競争の激化する世界でどの様に生き延びる心算なのだろうか?心配でならない。
以前にも引用したが、日本は今こそ福沢諭吉が米国で学んだ「独立の気力無き者は、必ず人に依頼する。人に依頼する者は、必ず人を恐れる。人を恐れる者は、必ず人にへつらうものなり。」と言う「学問の勧め」の精神を真剣に考える時期である。
マスコミは勿論、政治家や学者、評論家までが行政保護頼りの「おもらい」政策を当然とする論調を今後も続ければ、「自ら手を汚す」勤勉な日本人が、先ず「おもらいの手をのばす」怠惰な国民性になってしまう事は間違いない。
「エコノミックアニマル」も行き過ぎだが「他人本願」「怠け者」日本人が登場するとしたら、何とも情けない。「格差是正」「弱者救済」の美名に隠れた「お貰い奨励」や「わがまま肯定」の行き過ぎは何としても阻止しなければ、日本の将来はない。
ローザンヌ1位 世界がたたえた表現力
毎日新聞 社説 2012年2月7日
破格のスケールを持った舞姫の登場だ。神奈川県厚木市出身で和光高校(東京都町田市)2年の菅井円加(まどか)さん(17)がスイスのローザンヌ国際バレエコンクール第40回大会で1位になった。ダイナミックな表現による栄冠を祝福したい。
15〜18歳の男女を対象にした同コンクールは、新進ダンサーの世界的な登竜門。これまでに熊川哲也さんや吉田都さんらが入賞している。
同コンクールは古典舞踊と現代舞踊の2部門で競う。技術力に秀でた日本人の若者は従来、古典が得意で現代物が苦手だとされてきた。
バレエの型を踏まえ、振り当てられた役を正確に演じることが必要な古典に対して、現代舞踊では不安や不条理を含めた人間のドロドロとした魂を表現することが求められる。つまり踊りのうまさを超えて、「自分」を形にしなければならない。菅井さんの1位は、現代舞踊でも最高の演技をしたと評価されてのことで、バレエ関係者は「奇跡的な快挙」と称賛する。
英国ロイヤル・バレエでプリンシパル(最高位)を務めるなど世界的に知られ、今回のコンクールで審査員をした吉田都さんでさえ、当初は現代舞踊で苦しんだという。ローザンヌで入賞後、英国に留学した。日本の教育で基礎はきっちりと身についており、技術面では困らなかった。しかし、定型を破る表現を求められる現代舞踊では、戸惑うことが少なくなかったと、かつて本紙記者に語ったことがある。それだけに菅井さんの表現力には、日本バレエが新時代に入ったとの思いが広がった。
菅井さんは3歳からバレエを始め、小学生になってからは佐々木三夏バレエアカデミー(神奈川県大和市)に通っている。国際コンクールへの海外からの出場者は、多くがその国の国立バレエ学校の生徒だという。個人スタジオで学んでの快挙は日本全体の水準の高さを示すとともに、本人の努力に加えて、指導者や周囲の人々がいかに優れていたかを語るものでもあるのだろう。
初の海外挑戦だった菅井さんだけでなく、サッカーのなでしこジャパン、スキージャンプの高梨沙羅さんら、このところ日本の若い女性の国際舞台での快進撃が続く。いずれも本番に強く、実力をおおらかに発揮する。1位に決まった直後の菅井さんへのインタビューでも、落ち着いた受け答えが精神力の強さを実感させた。
「ローザンヌはアーティストにとっては通過点」とは熊川哲也さんの言葉だ。菅井さんは今後、英国への留学を考えているという。さらに大きく成長することを期待するとともに、日本から世界へ、表現者たちが次々と羽ばたくことを望みたい。
今年は、2011 FIFAバロンドール賞を受賞した澤穂希選手、全豪オープンでベスト8に進出した錦織圭選手に感動したばかりでしたが、またまた若い日本人がローザンヌ国際バレエコンクールで快挙を成し遂げました。素晴らしい! この菅井円加さんのことを、毎日新聞は以下のように報じています。
「国際コンクールへの海外からの出場者は、多くがその国の国立バレエ学校の生徒だという。個人スタジオで学んでの快挙は日本全体の水準の高さを示すとともに、本人の努力に加えて、指導者や周囲の人々がいかに優れていたかを語るものでもあるのだろう。」
「何しろ各国の国立バレエ学校の若きエリートらが競うコンクールだ。そこで高校の学園祭のグループダンスにも参加する日本の17歳が、抜きんでた才能を評価されての栄誉である。あたかも私たちの社会の奥行きの深さを世界に示したような何とも誇らしい痛快事だ。」
「躍る心にもあやかりたい今の日本人だ。」
余録:多くの芸談を残した…
毎日新聞 2012年2月7日
多くの芸談を残した六代目尾上菊五郎はロシアのアンナ・パブロワのバレエ公演「瀕死(ひんし)の白鳥」を見て驚嘆した。その激しい踊りの末に白鳥が死ぬ幕切れに、彼女が息を止めているのを知ったからだ▲3日間公演に通った六代目は、とうとう楽屋を訪ねて激賞する。するとパブロワは答えた。「幕切れは瀕死ですから、私は幕が下りてこなかったらそのまま死ぬつもりで踊っています」。2人は意気投合し、互いの芸談に不思議なほど一致点があるのを知ったという▲1922(大正11)年のこのアンナ・パブロワの来日こそが、日本人観客が初めて本場のバレエに接した歴史的公演であった。その後は日本人のバレリーナも育ったが、本格的なバレエの普及は戦後になってからのことだ▲かほどに日本のバレエの歴史は決して長くない。だが「足の短い日本人に洋舞は向かない」などといわれた黎明(れいめい)期からすれば世は一変した。ローザンヌ国際バレエコンクールで1位となった神奈川県出身の高校2年、菅井円加(まどか)さんの笑顔は日本中をパッと明るくした▲何しろ各国の国立バレエ学校の若きエリートらが競うコンクールだ。そこで高校の学園祭のグループダンスにも参加する日本の17歳が、抜きんでた才能を評価されての栄誉である。あたかも私たちの社会の奥行きの深さを世界に示したような何とも誇らしい痛快事だ▲六代目は晩年に「まだ足りぬ 踊り踊りてあの世まで」と詠んだ。今「世界」の登竜門を通り抜けた円加さんにはこれから始まるバレエの長い道のりである。目指す高みからは何が見えるのだろう。躍る心にもあやかりたい今の日本人だ。
「高齢者」減らして変わる未来
2012.2.5
2060(平成72)年の人口は現在の「3分の2」の8674万人にまで落ち込む。高齢者が4割を占め、高齢者1人を1.3人の勤労世代で支える「肩車型社会」が到来する。国立社会保障・人口問題研究所が映し出した「50年後の日本」の社会像は衝撃的だ。
75歳以上がほぼ一本調子で増え続け、勤労世代である生産年齢人口(15〜64歳)は現在の8173万人から4418万人に半減する。平均すれば毎年75万人ずつ減る計算だ。世代間の支え合いである社会保障制度など、とても維持できない。
■勤労世代の足腰は弱く
問題は支え手の人数が減るだけでは済まないことだ。肩車の上に乗る高齢者の“体重”は重い。高齢者数が増えれば社会保障にかかる費用も伸びる。政府の推計では、現在の約108兆円が2025年には約146兆円に膨らむ。2060年にはさらに大きくなるだろう。
一方で、下となる勤労世代の足腰は弱っている。勤労世代のほうは非正規労働者が増大し、就職ができずに生活保護を受給せざるを得ない若者は珍しくない。すなわち、やせ細った若者が、丸々太った高齢者を肩車している状況を想像すれば分かりやすい。
野田政権のような「増税」一本やりでは解決はしない。消費税率の5%引き上げを考えているが、社会保障の安定財源はなお足りない。今回の一体改革は、当面の課題を解決するための小手先の対応に過ぎないのである。
増税だけでは解決せず
社会保障を少子高齢化と人口減少に耐えうる制度にするにはどうしたらよいのか。税や保険料負担を青天井で上げ続けるわけにはいかない以上、それ以外の方法との組み合わせを考えるしかない。
まずは発想を変えてみることだ。例えば、高齢者の数を少なくする。減らすといっても、物騒なことを考えようというわけではない。65歳以上を「高齢者」としている現在の定義を改めるのだ。
2060年の平均寿命は男性84.19歳、女性90.93歳と予想されている。60歳そこそこで定年退職を迎え、社会から引退するのはいくらなんでも早すぎる。
いまでも元気な高齢者は少なくない。今後、医療技術などがさらに進歩すれば、平均寿命が単に延びるたけでなく健康で長生きする人も増えるだう。過去50年間をみても“シルバー像”は大きく変わった。
仮に、高齢者の線引きを「75歳以上」へと引き上げたらどうなるだろうか。2060年の高齢者の割合は26.9%にまで下がる。高齢者から外れる65〜74歳のうち、意欲のある人が職に就けば労働力不足の解消策ともなる。同時に「子供」の定義も見直す。現行の区分では14歳以下が子供扱いだが、15歳で職に就く人は多くはない。例えば、子供は「19歳以下」としよう。
■避けられる肩車型社会
高齢者1人を何人の勤労世代で支えればよいのか。この“新たな人口区分”で計算し直すと、日本の未来像は違った姿を現す。団塊世代が75歳以上となる2025年においても「3.7人で1人」と現在のような騎馬戦型社会を維持できる。2060年は「2.2人で1人」で、肩車型社会は避けられるのだ。
さすがに74歳まで現役で働くというのは現実的ではないという声も多いだろう。ならば、「70歳以上」で線引きをしてもよい。要するに、現行の年齢区分に歩調を合わせて作られてきた社会システムを見直さない限り、これからの社会の激変は乗り越えられないということだ。
もちろん、年齢区分を見直すだけではうまく機能しない。いくら60代、70代に元気な人が多いといっても若者とすべてが同じとはいかない。年齢の重ね方には個人差もある。社会の作り替えは一朝一夕には行かないであろう。
しかし、わずか50年で勤労世代が半減するという「国家の非常事態」である。あらゆる分野で、これまでの慣習や仕組み、ルールなどを一から見直す必要があることだけは間違いがない。
(論説委員兼政治部編集委員)
上の記事を書いた産経新聞の河合雅司論説委員の発想の転換はステキですね。現実を直視している人の1人です。政治家や官僚も本当は、この現実を知ってはいるはず。それでも国民にウソをつき続けているのは、既得権益・自己保身に走っているわけで、今さらですが、政治家も官僚も資質がないというしかありません。国会議員は国民の命と財産を守るのが仕事であり、官僚はその政治家を補佐すべし。自民党も、今は民主党政権を批判していますが、ここに至った責任をとるべし。
やはり、自民も民主もぶっ壊して橋下維新に期待したい。
<維新の会>塾生応募、定員の400人超す 元議員や官僚も
毎日新聞 2月5日
大阪維新の会が次期衆院選をにらんで3月に開講する「維新政治塾」に対し、塾生定員の400人を超える404人の応募が寄せられたことが分かった。維新幹部が4日、明らかにした。締め切りは10日で、さらに応募は増えるとみられる。維新は衆院選で全国から候補者を擁立する構えを見せており、塾生の中から候補者選定を進める方針だ。
維新関係者によると、応募は全国からあり、元国会議員や現役官僚なども応募してきているという。次期衆院選で大阪府内の選挙区にみんなの党から出馬予定の新人2人も応募する意向を示している。塾では衆院選の事実上の政権公約の策定に向けた議論を進める予定で、国政進出に向けた準備を加速させる。
募集は先月前半から始まっており、当初50人程度を定員とする方針だった。しかし維新代表の橋下徹・大阪市長が全国での候補者擁立を目指し、400人の塾生を集める方針を示していた。
数年後の国債急落を想定 三菱UFJ銀が危機シナリオ
2012年2月2日 朝日新聞
銀行最大手の三菱東京UFJ銀行が日本国債の価格急落に備えた「危機管理計画」を初めて作ったことがわかった。数年後に価格が急落(金利が急騰)して金利が数%にはね上がり、損を少なくするために短期間に数兆円の国債を売らざるを得なくなることもある、としている。国債の有力な買い手がいよいよ「急落シナリオ」を想定し始めた。
日本政府の借金総額は約1千兆円あり、このうち国債を発行して投資家から借りているのは約750兆円(昨年9月末時点、日本銀行調べ)。国債の9割超は国内で買われ、4割を銀行が持っている。とくに三菱東京UFJはゆうちょ銀行を除いて最大の約42兆円を持ち、国債を売買する債券市場への影響力が大きい。
計画は昨年末にまとまった。日本の経済成長率や経常収支、為替など30指標をチェックし、国債急落につながる変化があれば損失を軽くするために売却などの対応をとる。
以前から銀行は、国債の長期保有のリスクを抑えるために短期国債に切り替え、かつ保有残高を落としているとは聞いていましたが、ついに国債の有力な買い手である三菱東京UFJ銀行が、日本国債の価格急落に備えて「急落シナリオ」を想定し始めました。こういうときに民主党政権は最低保障年金を増額するというので、池田信夫氏は「彼らの頭は大丈夫なのだろうか。」と心配し、以下のように述べています。
■「サブプライムローンでCDS(債券保険)を大量に買って数十億ドルの利益を上げたヘッジファンドのトレーダー、カイル・バスは、次の標的を欧州の国債に定めた。2009年に11ベーシスポイントだったギリシャ国債のCDSスプレッドは、2011年には2300ベーシスポイントまで上がり、彼のギャンブルはまた当たった。そして彼が次に大量にCDSを買っているのは、日本とフランスの国債だ。」
■「ギリシャとアイルランドとイタリアの合計より大きな政府債務を抱え、毎年1%ずつ労働人口が減る日本が破綻したときの地獄は、もっと苛酷だろう。メガバンクも暴落に備えて逃げ始めた。ところがギリシャでさえ年金を減額するのに、日本の民主党政権は『最低保障年金』を増額するという。彼らの頭は大丈夫なのだろうか。」
→ 財政破綻した欧州の落ちた地獄 - 『ブーメラン』
「彼らの頭は大丈夫なのだろうか。」…大丈夫ではないと思いますよ。鳩山由紀夫元首相は4日、自らの政治信条である「友愛」の一字を取って政治活動名を「鳩山友紀夫」に変更する考えを明らかにしたそうです。後援会会合で「日本を世界に尊厳をもって迎えられる国に育て上げたい気持ちで燃えている」と述べ、政治活動の継続に意欲を示したというのですが、あきれて言葉がない。先月30日には、「EU全体は戦争のない状態にある。東アジア共同体をEUにならいながら構想し、二度と戦争が起きない関係を作ろうではないか」と述べ、尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件を「衝突事故」と表現するなど、馬鹿も休み休み言えって感じですね。EUが今、どういう状況か、分かっていないらしい。そして、韓国・北朝鮮が、いかに悪辣な国かを知らない。この国が存在する限り、東アジア共同体など有り得ないでしょ。
その韓国、相変わらずランキングがお好き。
韓国の国家ブランドは世界15位…日本は?
2012年02月03日 中央日報
韓国のブランド価値は世界主要国のうち「実体」が15位、「イメージ」は19位で、実際の姿より国家イメージがやや落ちることが分かった。
サムスン経済研究所は2日、大統領直属国家ブランド委員会と共同開発した国家ブランド指数を調べた結果、韓国の国家ブランド「実体」順位は15位で、前年に比べて3つ上昇したと明らかにした。 「イメージ」順位は前年と同じ19位だった。
「実体」順位1位は米国で、 ドイツ、フランス、日本、英国、スイス、豪州、スウェーデン、カナダ、オランダが後い続いた。
「イメージ」順位は日本が最も高く、ドイツ、米国、カナダ、英国、フランス、スウェーデン、豪州、スイス、オーストリアが2−10位となった。
「実体」順位はスイス国際経営開発院(IMD)、世界経済フォーラム(WEF)、世界銀行(WB)などの125件の統計資料、「イメージ」順位は昨年11月4日から21日まで26カ国のオピニオンリーダー1万3500人を対象に行ったアンケート調査に基づいて付けられた。
韓国ブランド価値1兆5000億ドルで世界10位
2011年12月01日 中央日報
産業政策研究院は2011国家・都市・企業ブランド価値評価の結果、韓国の国家ブランド資産価値順位は世界主要39カ国のうち10位だったと30日、明らかにした。
韓国のブランド資産価値は1兆5000億ドルと評価された。韓国は07年から5年連続で10位。ただ、国家ブランドパワー指数は6つ落ちた16位だった。
米国は国家ブランド資産価値が約11兆ドルで1位、次いでドイツ(7兆2000億ドル)、日本(3兆6000億ドル)などの順となった。
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福澤諭吉 渡欧(幕臣時代)より一部抜粋
この旅で福澤は幕府から支給された支度金400両で英書・物理書・地理書を買い込み、日本へ持ち帰っている。ヨーロッパでも土地取引など文化的差異に驚きつつ、書物では分からないような、ヨーロッパ人にとっては通常であっても日本人にとっては未知の事柄である日常について調べた。たとえば病院や銀行、郵便法、徴兵令、選挙制度、議会制度などについてである。これら遣外使節団などへの参加経験を通じて、福澤は日本に洋学の普及が必要であることを痛感する。また、香港で植民地主義・帝国主義を目の当たりにし、イギリス人が中国人を犬猫同然に扱うことに強い衝撃を受ける。
帰国後、『西洋事情』(慶応2年1866年〜)などの著書を通じて啓蒙活動を開始。幕府機構の改革を唱えた。またアメリカ独立宣言の全文を翻訳して『西洋事情』(初編 巻之二)中に「千七百七十六年第七月四日亜米利加十三州独立ノ檄文」として掲載して日本に伝えた。『西洋事情』は「理化学、器械学」が特に強調されており、病院・銀行・郵便・徴兵制の制度や設備について言及してある。
東日本大震災をきっかけに地震多発時代へと突入した日本。専門家によると、日本列島全体が大きな地震の活動期に入ったらしい。で、今後最も発生を警戒しなければならないのは、首都圏(直下型)、青森沖、房総沖、東海、富士山(噴火)だそうです。
→ 地震予知の第一人者・長尾年恭東海大学教授「首都圏直下型M8」「東海地震M9」はまもなく来るものと覚悟してください
日本は欧米諸国同様、財政など問題山積なのですが、日本は地震という特殊な危機を常に抱えています。まして地震活動期に入ったそうなので、「必ず近い将来起こる」あるいは「今日起こってもおかしくない」と言われる大地震の前には、ほかの問題の対策など霧消してしまいそうな事態。現在も、東日本大震災の復旧・復興が終わっていませんが、大寒波・大雪に見舞われています。そこへ「首都圏直下型M8」や「東海地震M9」など起きたら、年金も社会保障もないでしょう。それどころではありません。まして東海地震が起きたら富士山噴火も起こる可能性が高いと。
そんな危機的状況な日本に、福澤諭吉さんのような救世主が現れないものかと思ってしまいますね。腐敗した貴族政治の時代に清盛や頼朝が現れたように、僧侶まで地に落ちた戦国時代に信長が現れたように。
双日総合研究所副所長・吉崎達彦 米国以上の自信喪失は情けない
2012.2.3
米紙ニューヨーク・タイムズが年明け早々のオピニオン欄に、「日本の失敗という神話」という論考を掲載していた。日本をよく知るジャーナリストのイーモン・フィングルトン氏が、バブル崩壊後の日本は実はうまくやってきたのではないかと論じている。たとえば−。
≪「日本の失敗という神話」≫
一、過去20年間に日本の平均寿命は4・2歳も伸びた。生活の洋風化にもかかわらず、今や日本人はアメリカ人よりも4・8歳も長生きである。
一、最速のインターネットサービスが利用可能な世界50都市のうち、38都市が日本にある。
一、失業率は4%台で、アメリカの約半分である。
一、「失われた数十年」に、東京では150メートル以上の高層ビルが81棟建設されたが、これはアメリカの主要都市を上回る。
一、ミシュランの三つ星店は東京には16店もあるが、2位のパリは10店である。
いわく、「日本は失敗した国」という認識で日本を訪れると、皆アメリカ人よりいい服を着ているし、最新のいいクルマに乗っているし、「これほど多くのペットが甘やかされているのを見たことがない」と、衝撃を受けるのだそうだ。
確かに、日本を訪れる外国人の多くが「この国のどこが不況なんだ」と不思議がるのは、よくある光景である。ただし、このような日本再評価論が登場するのは、あくまでアメリカの自信喪失の裏返しでもあることを忘れてはならないだろう。
あのリーマン・ショックから既に3年半が経過しているが、アメリカの景気回復の足取りはなおも重い。企業部門は概(おおむ)ね好調だが、家計部門はバランスシート調整に手間取り、消費は冴(さ)えない状態が続いている。失業率は8%台と高止まりし、特に若年層の不満が高まっている。住宅着工件数は最盛時の3分の1の水準で丸3年も底ばいしている。
≪課題解決の先頭ランナーたれ≫
オバマ政権は就任早々、7870億ドルの景気刺激策を実施したが、さしたる効果を得られぬままに予定の金額をほぼ使い果たした。米連銀は2014年後半までの実質ゼロ金利維持を宣言したが、その先の展望が見えてこない。そして、米国議会は不毛な対立を繰り返し、膨大な財政赤字に対して有効な対策を打ち出せていない。かかる状況を「日本化」(ジャパナイゼーション)と呼ぶ声さえある。
この言葉は、「日本のようになってはならない」という反面教師の意味で使われていたものだ。ところが、あらためて日本経済を見てみると、金融システムの破綻を経験した後も、国民は以前にも増して豊かな生活を享受している。かくして、「日本は上手に対応してきた」という逆説に到達するわけである。
もちろん、日本の現状は褒められたものではない。経済危機に直面したトップランナーとして、バブル崩壊後の処方箋を世界に提示することこそ、日本に求められる役割であろう。不良債権でも高齢化問題でも、日本は「課題先進国」を自任する立場ではなかったのか。
しかるに、日本人自身が、アメリカ人以上に自信を喪失しているように見えるのは情けない。外部環境の変化にうまく対応し、日本ならではの解決策を示している例だってあるのだから。
≪コダックと富士フイルムの差≫
つい先日、イーストマン・コダック社が連邦破産法を申請した。ところが、同じ分野で世界市場を二分していた富士フイルムは、デジタル化によって銀塩フィルムがなくなる中で、多角化に成功して生き残っている。お正月のCMで、同社が化粧品を宣伝していたことに驚いた視聴者は少なくないだろう。
英誌エコノミストは2社を比較分析し、「驚くべきことに、コダックは変化を嫌う典型的日本企業のように行動し、富士フイルムは柔軟なアメリカ企業のように行動した」と評している。日本企業が変化を嫌うというのは、ありがちな偏見にすぎない。
東京商工リサーチ社の調べによれば、創業百年を超える日本企業は全国で2万1千社を数えるという。欧米全体を足しても、それだけの数の超長寿企業は見つからないだろう。そして、1世紀以上の歳月を乗り越えるには、企業は何度でも自己革新を遂げなければならないことは自明である。どんな組織も、「変わらないでいるためには変わらなければならない」のである。
どんなに混迷が続いていても、「いよいよまずい」と全員が認識した途端に、すっと話がまとまって次へ進める。それこそが日本型組織の強みではなかったか。政治の世界でも、そんな瞬間が近づいているのではないだろうか。
問題は、そうしたメカニズムを、われわれ自身が言語化してうまく外部に説明できないことにあるのだが。
GDPが小さい国の場合、自国市場だけで全ての産業を自給自足的に成立させることは難しく、国外市場への輸出もしくは国外供給地からの輸入に頼らざるを得ないため、GDPの小さい国ほど貿易依存度は大きい。日本は輸出依存度も輸入依存度も非常に低い。総務省が発表した2009年のGDP(国内総生産)に占める各国の輸出依存度を見ると、韓国が43.4%、中国が24.5%、ドイツが33.6%であるのに対し、日本は11.4%に過ぎない。日本は輸出の絶対額で見れば中国、アメリカ、ドイツに次いで4位であるが、実はGDPの9割近くを内需が占める内需大国なのです。G20の国々の中で日本より輸出依存度の低い国は7.4%のアメリカと9.7%のブラジルだけです。ちなみに韓国経済は輸出依存度が高く、為替の影響を受けやすいという意味で産業構造は脆弱なのです。
日本の場合、精密機械や工作機械など、海外に競合メーカーがほとんどいないオンリーワン技術を持つメーカーの多くが、円建てで輸出しているそうです。強い立場で交渉に臨めるので、為替リスクを相手に押し付けていると。昨年上期の場合、円建て輸出の比率は全体で42.2%であり、アジア向け輸出では49.3%。また、中東原油の輸入のように、価値の高い円での支払いを求められるケースがでてきています。
韓国が貿易赤字に転落…24か月ぶり
2012年2月1日 読売新聞
韓国の知識経済省が1日発表した1月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、19億5700万ドル(約1490億円)の赤字となった。
月間の貿易収支が赤字となるのは2010年1月以来、24か月ぶり。また輸出額も415億3700万ドルと前年同月比で6・6%減少した。前年比での輸出減少は27か月ぶり。
同省では、長引く欧州の財政危機と原油価格上昇の影響だと分析している。
輸出依存度 韓国43.3%、中国24.5%に対し日本は11.4%だけ
2011.11.04 SAPIO2011年11月16日号
円高は日本のピンチなのか、チャンスなのか。国際金融アナリストで、『円高は日本の大チャンス』(PHP研究所刊)の著者・堀川直人氏は、「円高悲観論」は幻想にすぎず、日本経済は為替に左右されにくい強靭な体力を身につけていると指摘する。
* * *
「日本は輸出で食っている」というのは幻想にすぎない。総務省が発表した2009年のGDP(国内総生産)に占める各国の輸出依存度を見ると、韓国が43.4%、中国が24.5%、ドイツが33.6%であるのに対し、日本は11.4%に過ぎない。
日本は輸出の絶対額で見れば中国、アメリカ、ドイツに次いで4位であるが、実はGDPの9割近くを内需が占める内需大国なのだ。G20の国々の中で日本より輸出依存度の低い国は7.4%のアメリカと9.7%のブラジルだけだ。
今好調と言われる韓国経済も輸出依存度が高く、為替の影響を受けやすいという意味で産業構造は脆弱と言える。
その依存度の低い日本の輸出にしても、輸出先も決済方法もかつてとは大きく様変わりしている。日本にとって最大の貿易相手国は長らくアメリカだったが、2006年度以降は中国がトップとなり、2010年度にはその中国を含めアジア向け貿易が51.1%にも達した(金額ベース)。
しかも、精密機械や工作機械など、海外に競合メーカーがほとんどいないオンリーワン技術を持つメーカーの多くが、円建てで輸出している。強い立場で交渉に臨めるので、為替リスクを相手に押し付けているのだ。財務省の「貿易取引通貨別比率」によれば、2011年上期の場合、円建て輸出の比率は全体で42.2%であり、アジア向け輸出では49.3%だ。
逆に、輸入においても円建て決済を求められるケースも出てきている。中東原油の輸入である。ドル安が続き、ドルの価値がどんどん目減りしているので、価値の高い円での支払いを求められるのだ。
このままドル安が続けば、世界のドル離れがさらに進むことになる。そうなれば、あまり使わない通貨(=ドル)の価値がいくら変動しても、日本への影響は少なくなる。
池田信夫氏のTPPに関する意見と、「産業の空洞化が足りない」という発信も面白い。
成長から成熟へ、そして・・・
2012年01月27日 池田信夫
日本の貿易収支が31年ぶりに赤字になったことが話題を呼んでいるが、これ自体は予想されたことだ。特に昨年は原発の停止にともなう燃料輸入の増加で一時的な赤字が大きくなった。ただJBpressにも書いたように、長期的にも経済が成熟して経常収支が赤字になることは避けられない。
これは人間が年をとったら若いときの稼ぎを取り崩して生活するのと同じで、それほど不都合なことではない。問題は、日本全体の変化と個人の変化が必ずしも一致しないことだ。団塊の世代にとっては彼らの人生と日本社会の変化が一致しているが、若い世代は成長期に「成熟国」に暮らさなければならない。
現在の社会保障は日本が「成長国」だったときにできたものなので、同じ制度を成熟国で続けると財政が維持できない。特に経常収支が赤字になると、財政赤字を貯蓄でファイナンスする構造が崩れる。これからは資産を効率的に運用して所得収支で食うストック重視の経済構造に変えなければならない。この場合は円は強いほうがよいが、残念ながら円は今後、弱くなるだろう。
したがって「空洞化」をそれほど恐れる必要はなく、むしろもっと空洞化が必要だ。円が強いうちに海外投資を進め、投資収益で食える体制にする必要がある。資本主義の祖国であるイギリスも、その後継者であるアメリカも、産業資本主義から金融資本主義に進化した。日本が危機的なのは、いつまでたっても成長期の経済構造が変わらず、輸出産業に依存していることである。
朝日新聞はエダノミクスと称して「成長から成熟へ」という選択を推奨しているが、その内容は分配重視の社民路線だ。これは全体のパイが増えているときの成長の分配で、何をやってもみんなが得するので、政府の仕事は気楽だった。しかし、これからパイが縮小してゆくと、負担の分配が必要になる。これを社民的な裁量政策でやると、今の民主党政権のように反対が続出して収拾がつかなくなる。
ここで成長期の八方美人的な政策を続けると、財政が破綻して成熟国を飛び越し、一挙に「衰退国」になってしまう。それは団塊の世代が考えるより早く(10年以内に)来るので、困るのは年金以外に生活を支える手段のない高齢者である。取り返しのつかない状態になる前に、ルールを決めて機械的に歳出を削減するしかない。それが『もしフリ』のメッセージである。
「空洞化」が足りない
2011年11月06日 池田信夫blog
TPP反対論がナンセンスであることはもう説明の必要がないと思うが、賛成論にも疑問がある。そのメリットを輸出拡大に求める経産省の宣伝は間違いであり、戸堂康之氏の「TPPのメリットは10年で100兆円」という計算は根拠不明だ。もっとわからないのは、経団連の米倉弘昌会長の「TPPで空洞化に歯止め」という話だ。彼はこういう:
産業の空洞化に歯止めをかけ、国内の雇用を維持するために不可欠なことは、企業が海外で稼いだ利益を日本に持ち帰り、再投資したくなる立地条件を整えることだ。その一つが、貿易自由化の推進だ。韓国は欧州連合(EU)に続き米国とも自由貿易協定(FTA)を結んだ。日本が遅れれば遅れるほど、日本に残るべき生産・研究開発拠点まで流出する恐れが強まる。
企業が国内に「再投資したくなる立地条件」とTPPは、何の関係もない。TPPは貿易自由化のための協定だからである。むしろ貿易が自由化されると、生産拠点を海外に移す「空洞化」は促進されるだろう。たとえば現在、繊維製品には10%の関税がかかっているため、ユニクロが中国で生産した衣類を日本に輸入する場合も関税がかかる。しかしこれがなくなれば、海外生産するメリットは大きくなるのだ。
実はアメリカがTPPを進めるねらいは、ここにある。反対派はよく「アメリカ以外は小国ばかり」というが、こうした国は貿易の相手国としては小さいが、アメリカの企業が海外生産を行なう候補地である。関税や非関税障壁を除去することは、貿易より直接投資の拡大に意味があるのだ。この点で日本は、農産物以外の関税は低く、直接投資の規制もほとんどないので、よくも悪くも影響は少ない。
他方、これからアジア各国で関税や投資障壁がなくなると、日本から海外に生産拠点を移すことが容易になる。これは企業収益にとってはプラスだが、国内の雇用にとってはマイナスである。しかし同じ影響は労働集約的な製品を輸入することによっても起こるので、生産拠点の移転だけを特別扱いする理由はない。たとえばユニクロが中国で生産しなくても、中国から安い繊維製品が入ってくれば、日本の繊維産業の雇用は失われる。
むしろ日本の企業に足りないのは、こうしたグローバル化による国際分業の徹底だ。アップルが高い利益を上げているのは、ハードウェアの生産をすべて中国で行ない、本社は研究開発に特化しているからだ。他方、ソニーは国内に工場をもっているため、ハードウェアが割高になるばかりでなく、開発部門と製造部門の利害の不一致で中途半端な製品になり、不採算の製品を切り捨てることができない。空洞化の場合は本社が残るが、グローバル競争に負けると企業がまるごとなくなってしまう。
生産拠点がグローバル化しても、本社部門が国内にあれば利潤が還流してGDPは上がる。だから政府ができる有効な対策としては、法人税の廃止がある。復興特区で新設企業の法人税を時限的に免除するのは、重要な前進である。雇用を守るためには、新興国と競合する製造業に張り付いている労働人口をサービス業に移転する労働市場の改革も必要だ。農産物の高コストや食品の過剰な規制が流通・外食産業の生産性を低下させているので、TPPはこうした改革を促進する上でも重要である。
東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、「国は永遠に続くので、借金が永遠に続いても何も問題はない。」と以下のように解説しています。
国は永遠に続くので国の借金が永遠に続いても問題ないの声
2012.02.01 NEWSポストセブン
財政再建とは何か。この肝心な点が実はよく理解されていない。政府は「借金が1000兆円を超える(2012年度末で国債と借入金などを合わせて1085兆円)」などと宣伝しているが、本当のところはどうなのか。東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が解説する。
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通常国会が1月24日に始まった。焦点は消費税引き上げだ。野田佳彦政権は「増税分を全額、社会保障に充てる」と従来の説明を修正した。これまでは一部に社会保障以外の分も含まれていたのである。
カネに色はついていない。借金で賄っていた分が増税で賄えるようになれば、その分の借金が減る。それなら増税の目的は財政再建と説明してもいいはずだ。そう言わず社会保障を持ち出すのは「その方が国民の納得を得やすい」という計算があるからだ。
実際、安住淳財務相は遊説で訪れた宮城県仙台市で河北新報のインタビューに答えて「消費税で社会保障費を賄えれば財政再建の大きな一歩にもなる」と語っている(1月22日付同紙)。増税目的を簡単に変えるのは、いかにも小手先の印象がある。
財政再建とは何か。この肝心な点が実はよく理解されていない。政府は「借金が1000兆円を超える(2012年度末で国債と借入金などを合わせて1085兆円)」などと宣伝している。
よくある誤解は「どうやって1000兆円を返済するのか。孫の代まで借金を残すのは申し訳ない」という話だ。ところが、国の借金は全額返す必要がない。かなりの識者でも全額返済が必要と思い込んでいる人がいるが、まったくの誤解である。
財務省は国の財政を家計になぞらえて「月収40万円の家計の毎月の借金が35万円」などと危機をあおる。だが、国と家計には決定的な違いがある。住宅ローンは完済しなければならないが、国は永遠に続くので、借金が永遠に続いても何も問題はない。
問題は借金の規模なのだ。国の大きさに比べて借金が年々膨らみ続けていれば、財政は健全といえない。逆に減っていれば、健全と判断する。
国の大きさに比べた借金は、たとえば「債務残高の国内総生産(GDP)比率」で計る。日本は2011年度末で182%だ。1998年度末は110%だったから、増加傾向にあるのは間違いない。これを横ばいか減少傾向にできれば、財政再建達成である。
※週刊ポスト2012年2月10日号
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